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| 1.はじめに マイクロマシンのような微小な構造体を実現するために多くの微細加工技術が使われており、マイクロファブリケーションあるいはマイクロマシニングと呼ばれている。原子間力顕微鏡用のプローブをダイヤモンド薄膜によって形成した例を紹介しながら、マイクロファブリケーションの実際について述べる。 2.微細加工技術=マイクロフアブリケーション 図1は、マイクロファブリケーションの広がりを概観したものである。全体は、マスクを用いてパターンを転写していく「マスクプロセス」と、マスクを用いずに加工点を制御してパターンを形成する「マスクレスプロセス」、および組立てのための「接合技術」に分類できる。 マスクプロセスの典型的な例は、半導体製造プロセスである。ここで用いられている技術は、マイクロマシンに対してもすべて共通的に適用される。また、半導体のリードフレームやカラーTV用シャドウマスクなど、金属基板を中心に微細パターンを形成する技術であるフォトファブリケーションも、マスクプロセスの独特な位置を占めている。 半導体に比較して、マイクロマシンの構造上の特徴は立体性と機械的な可動部分の存在である。マスクプロセスを用いてこのような高アスペクト比の微細3次元構造を実現していく技術は、「バルクマイクロマシニング」と「表面マイクロマシニング」に分類される。バルクマイクロマシニングでは、基板にエッチングなどで所定の形状を形成していくことが基本のプロセスである。これに対して表面マイクロマシニングは、基板上の薄膜形成とリソグラフィによるパターニングを繰り返すとともに、犠牲層エッチングによって基板表面上に自立した構造を形成する技術である。 マスクレスプロセスでは、レーザ光や集束イオンビームなどの高エネルギービームを用いた加工技術がマイクロファブリケーションの中でもそのまま用いられている。また、放電加工や超精密切削などの一般の加工技術がさらに超微細加工用に発展したかたちで用いられている。 このようなマスクプロセス、マスクレスプロセスを経て形成されたマイクロ部品を組立てることによって、より高度の3次元構造を実現しようとする場合に接合技術が重要になる。マイクロマシンの組立てにはネジ締結を適用できない場合がほとんどであり、接着あるいは固相接合が用いられる。 図2は、Siウエハなどの基板上への薄膜形成、フォトリソグラフィ(フォトレジストパターン形成プロセス)とエッチングによる薄膜への微細パターン形成というマスクプロセスの典型的な工程を示している。 シリコン単結晶をアルカリ溶液中でエッチングすると、結晶方位によってエッチング速度が異なるという現象が生じ「異方性エッチング」と呼ばれている。これを用いると、シリコン基板に複雑な立体形状を形成することができる。図3は、このプロセスと固相接合によって3次元構造を実現する工程を示している。 図4は、微細加工プロセスを実行するために必要な装置類の代表的なものである。 |
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図1 微細加工技術(マイクロファブリケーション)
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図2 フォトリソグラフィによる微細パターン形成
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図3 単結晶シリコンの異方性エッチングと固相接合による立体構造の形成
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| 形状記憶合金薄膜形成用自作フラッシュ真空蒸着装置 | ||||||||||||||||||||||||||
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| フォトリソグラフィ用両面マスクアライナー | ||||||||||||||||||||||||||
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| 表面形状および寸法評価装置 | スパッタ薄膜形成装置 | |||||||||||||||||||||||||
| 図4 微細加工用装置類 | ||||||||||||||||||||||||||
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3.原子間力顕微鏡(AFM)用ダイヤモンド薄膜製プローブのマイクロファブリケーション
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| AFM 用のプローブは、通常、シリコン系の材料で作られている。プローブ先端の摩耗が問題になる.そこで、微細加工技術を用いて、耐久性の高いプローブとしてダイヤモンド薄膜でAFMプローブを形成した例を紹介する。
図5は、ダイヤモンド薄膜AFMプローブの形成プロセスである。最初に、シリコン酸化膜をマスクとしてシリコン(100)基板上に異方性エッチングによってピラミッド状のピットを形成した。ついで、(b)〜(f)のプロセスで基板上にダイヤモンド薄膜を位置選択的に成長させ、プローブ全体のV字形状を形成した。図6は、異方性エッチングによって形成したシリコン基板上のピットと、これをモールドとして形成したV字形ダイヤモンド薄膜プローブ先端のピラミッド状チップである。(h)〜(i)のプロセスでダイヤモンド薄膜上にガラスを固相接合し、ダイシングで不要部分を切り落とした。最後に,シリコン基板の不要部分を溶解除去して所定のダイヤモンドAFMプローブを完成させた。 図7(a)は、このようにして作製したプローブである。カンチレバーの寸法は、長さ500μm、幅30μm、厚さ1.5μmであり、ばね定数は1N/mである。先端のチップは,底面積20μm ×20μm、高さ17μm、先端半径50nmである。このプローブを用いて、図7(b)に示すように、大きさ5μm ×5μm、ピッチ10μm、深さ200nmの矩形パターンを正確に測定することができた。(茨城大学工学部機械工学科柴田研究室と共同開発) |
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図5 ダイヤモンド薄膜製AFMプローブの形成プロセス
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図6 モールド法によって形成したピラミッド形状を持つダイヤモンドAFMチップ
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図7 形成したダイヤモンド薄膜製AFMプローブと計測例
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| 4.おわりに ここで紹介したような、基板や薄膜にフォトリソグラフィを用いて微細形状を形成していく加工技術はトップダウン法と呼ばれている。近年、ナノテクノロジーの重要性が認識され、マイクロからナノへと一層の微細化が必要とされているが、トップダウン法には原理的な限界がある。このことに関して、原子・分子の単位からスタートして形状を積み上げていくボトムアップ法の必要性が言われ、新しい方法も提案され始めている。ナノテクノロジーを現実のものとするためには、トップダウン法とボトムアップ法を融合した微細加工技術を確立することが必要である。 |
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